トカゲモドキ科>アジアトカゲモドキ属>サトプラトカゲモドキ種
サトプラトカゲモドキ
Eublepharis satpuraensis Mirza, Sanap, Raju, Gawai, & Ghadekar, 2014
ヒガシインド、ダイオウに続くインドのトカゲモドキです。
(ヒョウモンも一応インドにもいますが)
東西インドの境界に位置するサトプラ山脈に生息しています。
タイプ産地はマディヤ・プラデーシュ州のサトプラ国立公園。
(Pachmarhi town, Satpura Tiger Reserve, Madhya Pradesh state, India)
サンプルになってもらったのはプラム♀。(安易なニックネーム)
まだ若い個体なので、これからサイズも模様も変わってくるかと思います。
WF1個体ということで、WCには及びませんがサンプルとしては悪くないかと思います。あまりCB化が進むと特徴が薄れたり混血の可能性が出てきますからね。
一般に言われるサトプラの特徴をざっと挙げてみます。
私の個人的な見解も含んでいるので注意。
見た目の通り系統的にはヒョウモンに近いと言われます。
トルクメニスタンがはっきりしませんが、おそらく分岐順としてはサトプラの方が先なんじゃないかと思います。
体形はオバケのイーラームほどではありませんがすらっとしていて、特に尾が長い印象です。頭部は扁平気味です。
他の方の個体を見ていると、MAXサイズは平均的にヒョウモン以上オバケ以下くらいでしょうか。
E.satpuraensisの記載論文より
・頭胴長130mm程度
・背面に3本の帯
・背面の疣状鱗は20列、尖らない
・睫板は46~48
・上唇板は9枚で目の下まで
・吻端版は幅>長さ
・頤版は幅>長さ
・前肛孔は14、大腿孔はなし
・趾下板は平滑
・〃数は 左後肢で10–15–18–18–16(タイプ標本)
・尾は円筒形で頭胴長より長い
翻訳が間違っていたらすみません。
細かいことは各自記載論文を見てください。
それでは最初に登場したプラム♀の各部を確認していきましょう。
・頭胴長130mm程度
△現在は頭胴長105mm程度でした。
まだヤングなので今後の成長次第ですね。雌なので少し小ぶりになるかもしれません。
・背面に3本の帯
〇記載論文では3本としていますが、うちの個体は暗色帯が2本に見えます。
首の前後の明色帯が繋がると「X」のようになり、暗色帯は分断されるので2本に見えますが、実際には3本です。
パラタイプの成体メス「BNHS 2303」などを見ると、首の模様が乱れて暗色帯が分断されているのが分かります。
簡単に図にしてみました。
ホロタイプやパラタイプの多くは左のパターン。
うちの飼育個体は中央のパターンです。
また、明色帯がほとんど分からない右のような個体も見かけます。
どれもサトプラの範疇と考えていいかと思います。
・背面の疣状鱗は20列、尖らない
〇数えてみたら丁度20くらいでした。
疣状鱗は尖らずドーム状で、疣同士の間隔は直径よりも広いです。
そのため触り心地は柔らかく滑らかです。
・睫板は46~48
〇いつものことながら写真が鮮明でないため、はっきりとは分かりませんが、48枚くらいに見えます。
・上唇板は9枚で目の下まで
〇9枚に見えます。
・吻端版は幅>長さ
・頤版は幅>長さ
〇記載通りですね。
・前肛孔は14、大腿孔はなし
〇♀なので分かりづらいですが14に見えます。
余談ですがこの手のトカゲモドキは♀のほうが圧倒的に流通量が多いのです。
雌雄に拘らず好みの柄で選ぶと大抵♀を買うことになります。
・趾下板は平滑
・〃数は 左後肢で10–15–18–18–16(タイプ標本)
〇代表で後肢第4趾を数えてみました。19くらいに見えるのでほぼ記載通りですね。
・尾は円筒形で頭胴長より長い
△動き回るのでざっくりした計測ですが、頭胴長約105mm、尾長約95mmでした。
若干頭胴長の方が長いです。
この辺は成長するにつれて変わる可能性もありますね。
こんなところでしょうか。
計数形質に関してはほとんどお手本みたいな個体でした。
他種との主な識別ポイントとしては以下のような感じですかね。
オバケ:体長、疣状鱗の尖り方、趾下板の形状
ヒガシインド:疣状鱗の尖り方、帯の入り方
ダイオウ:疣状鱗の密度、帯の入り方
ヒョウモン:疣状鱗の尖り方、帯の本数
トルクメニスタン:〃
pictusについては詳細は分かりませんが、おそらくヒガシインドと同様でしょう。
まあこんなところを見るまでもなく顔つきとか各部のバランスも違うんですけどね。
とにかく、うちの個体は問題なくサトプラと言えると思います。
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ちなみにこのサトプラトカゲモドキですが、pictusを除くと最も入手が難しく高価なEublepharisのひとつです。ここ最近ようやく流通が増えて手の届く価格帯になって来たので思い切って購入しました。
ヒョウモンやダイオウ等とは全く別の魅力がある種類なので、ちょっと大きいレオパかなんかだと思っている方はぜひ実物を見ていただきたいです。
そしてサトプラとはある意味対極にいる、一番ポピュラーな種類であるヒョウモンですが、ようやく基亜種のいわゆる「マキュラリウス」を入手できたので次回紹介したいと思います。